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もてなしの家

たくさんの仲間と集うための住宅

 

敷地は恵比寿の閑静な住宅街にあり、袋小路の奥にあるため人通りは少ない。

地上3F建ての2F部分の改修であり、

敷地内に大きな木々が植えられていたので比較的プライバシーは守られていた。

 

建物は1・2F子世帯、3F親世帯となっており、階毎に完結し外階段2つで相互間を行き来する構成であった。

昔から1F駐車場で多くの人が集いBBQなどを開催する家庭であったが

改修前の2Fのキッチンは北側一番奥の暗い個室となっており、

また部屋も小さく区切られていたため多くの人が集まれる空間がなかった。

そこで2Fでは仕切を調整し、キッチンを中心に人が集まることができる広い空間を設けた。

そこを外階段から玄関、キッチン、廊下、勝手口、外階段へとつながる土間が横切り、水回りを配置している。

 

内装は築40年以上前の建物を躯体あらわしとし、そこに新しい白い抽象的なヴォリュームを置いてあえて境界を引いた。

はじめはその境界を感じていた人も親交が深まると次第に境界を飛び越えるようになり、

もてなす側ともてなされる側の意識上の境界が曖昧になっていきキッチンを囲って輪ができる。

もてなされる側だった人も最後にはもてなす側に立ち洗いものしてお礼をする。

 

見えないけど、ある、意識上の境界。

そのうつろいを目にすることができた。

 

data

竣工:2017年07月

所在地:東京都渋谷区恵比寿

用途:住宅

構造:RC造/地上3階建(2階部分改修)

床面積:82.5 m²

credit

施工:有限会社 門川建興

写真:花田梢

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